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2013年10月17日 (木)

東京の戦争

著者 吉村昭 ちくま文庫

14歳の昭和16年(1941年)の兄の戦死から、著者の戦争が始まります。
翌17年には東京に初めての空襲。自宅の物干し場でB29を目撃。
18年、連合艦隊司令長官山本五十六が戦死、日本は敗戦への道へと突き進む。同年、母死去。
19年、太平洋上の多くの島々が玉砕、都市部では食料の配給がとどこおりがちになり、馬のえさまでが食料として配給されるようになります。
著者18歳の20年3月、東京大空襲。下町が消滅。4月、自宅の西日暮里も消失。
8月広島長崎に原爆投下。、、終戦。その年の12月に父死去。
焼夷弾の空襲直後の焼野原には無数の死体(戦後の調査で10万5千人以上の死者があったという)。その死体が瞬く間に都民の目から消えたのは、警察、軍隊、消防隊、受刑者までが加わった必死の埋葬作業があったのだということも知らないまま、戦後を生きてきました。
東日本大震災で1万5千人という沢山の方が亡くなって、オロオロしていたのに、たった一晩の空襲で10万5千人以上の方たちが瞬く間に亡くなり、その死体が東京中に散乱していたという事実に、改めて衝撃を受けました。
なんとも壮絶な、、と思ってしまいますが、当時から著者は作家の目で事実をじっくりと観察していたらしい。。詳しい。。本書を書いたのは70歳をすぎてからということですから。
戦時中も許す限り寄席や映画館などに通った著者の知的好奇心というか、精神的ゆとりが、冷静な、客観的な戦時中観察者となり、戦後数十年たって後に心を打つ戦争体験紀をかくことにつながったのかなぁと、、思いました。
昨今、大震災、原発事故、自殺者毎年3万人(東京大空襲が3年に一度起こっている並の出来事)、年金破綻、高齢者軽視、、どうなってしまうのニッポン、、、
(誰でしたっけ、もはや戦後ではないって言った人がいましたが、、いやいやまだ充分戦後だし、、)さらに、軍靴の足音が聞こえているような昨今、戦争とはどういうことなのかを見直すためにも、今のこの時代にこそ、読むべき一冊なのではないかと思いました。

戦後の都民の逞しさも描かれており、特に、加害者に対していつまでも根に持つことのできないこの忘れっぽい国民性、安易な楽観主義、これが、なんとか民族としては、多少は生き残れれきた要因なのかもしれないなぁという、根拠はありませんが、これが日本民族の特性なのかもしれないなぁとも思ってしまいました。

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