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2018年8月29日 (水)

百年泥

著者 石井遊佳 新潮社

昨年の芥川賞で、インドブームの私は、インドが舞台のこの小説、図書館で予約して、100人待ちくらいで、ようやく1年くらいかかって読むことができた小説だったのですが。

冒頭はインド関係あるのですが、それ以降のストーリーが、別にインドでなくてもいいのでは、西日本で百年に一度の洪水があったし、場所はそれではだめだったのか。

なぜインドだったかというと、作者が大学でインド哲学を勉強しており、夫が同じ大学でサンスクリット語の研究者で、インドに暮らしていたから、、のようです。

作者本人が多重債務者でインドのタコ部屋に入れられたという実話をもとに描かれたのだったら面白かったのですが。

大枚出さずに図書館で借りて読んでよかったかな。という小説でした。

以前、新刊を図書館で読ますなと運動していた作家がいましたが、わかっていない。

おもしろい本は図書館で読んでも必ず買います。私の場合、図書館で読んでから購入して、さらに10回くらい読んで、本がぼろぼろになって、2冊目を買いなおすこともあります。

なので、図書館で読まれると買ってもらえないという作家は力量がないだけかと思います。

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いつまでも美しく

著者 キャサリンブー 早川書房

久しぶりに人にどうしてもすすめたくなる一冊でした。

読めば読むほど、今の日本のことを考え憂いてしまうのです。

本書は、インド、ムンバイ空港近くのスラムで暮らす人々をアメリカのジャーナリスト(夫はインド人)がスラムの人々のと共に過ごし、取材して作られたノンフィクション小説、ベストセラー作品

最初はフィクションだと思って読んでいたので、あとがきで、すべて登場人物は実在すると知りおどろきました。

ムンバイの高級ホテルを狙ったテロのころの話。まだ最近のインドの話です。

タイトルの「いつまでも美しく」は、スラムの人たちが何度も見かけた美白化粧品のコマーシャル。上流階級の人々は美白を目指すために、高価な化粧品を金に糸目もつけない。その日の食べ物にもありつけないスラムの人々の暮らしの光と影。

貧しいスラムの人々は、理不尽な出来事に次から次へと巻き込まれます。それでも、家族の幸せのために、あらゆる知恵とコネと忍耐を遣い、娘や息子たちにより良い暮らしをさせようと奮闘します。そのために、隣人や友人の信頼を裏切ることもあるのですが。

政治家も、役人も、警察も、病院も、ワイロやコネがないと動かない。貧しい人々は全ての公共福祉の一番後ろの列にまわされてしまう。

そんな貧困層が大多数を占めるインドで、これまで、金さえだせば何の問題もないと思っていた富裕層たちが、かの、高級ホテルを狙ったテロで、愕然とする。警察も、軍隊も、まともに機能していなかった。怪我人がいるのに、救急車もやってこない。

行政・司法の腐敗は、実は富裕層にも深刻なダメージになりうるのだと、はじめて気が付くことになるのです。そして、インドはこれではだめだと富裕層すら気が付くことになるのです。

しかし、日本は、、逆にインドへの道を進んでいるのでは?国のトップが、友達優遇、官僚も行政も、警察も次から次へと不祥事続き、、昨日の障碍者雇用の水増し問題での財務大臣の謝罪と称した、ふてくされて言い訳する姿には悲しみさえ覚えました。

そして、格差、貧困、被災地置き去りでオリンピックに馬鹿騒ぎ。

頭から、足元から腐ってきているのではないかと、本書を読んで、日本はどうなってしまうのだろうと、恐ろしくなってしまいました。

若い人たちが、未来を信じてできるかぎりの努力をしているように見えるインドと、絶望と不信の社会を生きる日本、、そんなことを考えてほしい、アメリカではベストセラーだったということですが、なぜ日本でもっと多くの人に読まれないのか、読んで欲しい一冊でした。

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