カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2017年11月26日 (日)

弟の戦争

著者 ロバートウェストール 徳間書店

児童書なのですが、大人向けのような内容です。
イギリスで何不自由なく平和に暮らすある家族の少年の弟が湾岸戦争の最中、イラクの少年兵と意識がシンクロしてしまうというお話。
イラクの少年兵もひもじくなったり、砲撃されて怖かったり、仲間が死んで悲しかったり、そんな体験をイギリス人の子供が意識の中で体験してしまう。
両親は弟が精神病になってしまったのだと思うが、少年と医師はこの子供がイラクでなにかを体験しているのだとわかっていたのです。
弟がこうなる前の少年は、父親とふたりで、「イラクのやつらに爆弾を落として粉々にしてしまえ!」なんて息巻いていたのだが、そのとき、母親が、「なんてことを言うの、イラクの兵隊さんたちにも母親がいるのよ、あのひとたちは金属でできているとでも思っているの?」、といってたしなめるが、このときはまだ、少年は母親の言っていることがよくわからなかったのです。
弟がイラクの少年兵と意識下で同化してしまったとき、はじめて、イラクの少年兵も砲弾が恐ろしい、深夜の爆撃は怖くて眠れない、育った村に帰って母親に会いたい、平和に暮らしたいと思っているのだと知ることができたのです。
この児童書は、湾岸戦争で連合軍がイラクに無差別爆撃をしたことに憤慨したイギリス人の作家の作品だそうです。
「北朝鮮のやつらを懲らしめてやれ、いつでも砲撃できるんだぞ」と息巻いているかの国、この国の指導者やネトウヨも、北朝鮮の兵隊さんも母親から生まれた血が通っている人たちで、自分たちと同じに親や兄弟、家族がいるし、本当は戦争なんかするよりも、村に戻って家族や恋人と平和に暮らしたいと思っているのではないかという想像力を働かせていただきたいものだなぁと。。この本は児童書ですが、こどもたちがそんなことを考えてくれればと思いました。
日本と北朝鮮バージョンでこの本をつくることもできそうです。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月 5日 (日)

紅楼夢

曹雪芹作 岩波文庫

「三国志」「水滸伝」「西遊記」とならぶ中国四代名著の一つということですが、他の3作に比べると、日本では圧倒的に知名度が低い本書。
中国では、红学(紅楼夢を研究する学問)や、红迷(紅楼夢マニア、紅楼夢狂い)といった言葉まである愛され文学で、毛沢東も愛読したとか。テレビドラマ化も何度もされているほどの人気作品ということです。
岩波文庫版でも12冊あります。
全部で120回まである作品ということですが、80回以降が散失してしまい、そのまま作者が死去してしまったため、今ある80回以降は清時代の官僚・文学者高鶚が補ったということですから。岩波文庫だと8巻目までが曹雪芹作ということになります。
この本は18世紀中ごろに書かれたということですから、イギリスだと、ディケンズあたりと同じ時代の作品なのですね。
ところで、まじで面白い。本当に面白いです。読みだしたら最後You can't stopですよ。
わたしも、毎日往復3時間の通勤時間なのですが、この本読みだしてから、通勤時間があっという間なのです。
日本では、中国版「源氏物語」などと言われていゐるそうですが。
むしろ、中国版「渡る世間は鬼ばかり」(舞台は中華料理屋ではなくて、中国の宮廷や貴族なんですが。。いやー、まじで家族のドロドロ、人間のドロドロが次から次へと湧き上がる人間ドラマで面白いったらないです)。
でも、物語のなかに挿入される、登場人物たちが読む詩や、知的な会話など、そういうドロドロ大衆文学を嫌った毛沢東も認めた教養小説でもあるんですね。。
現在6冊目まで読みましたが、曹雪芹版はあと2冊か、、と思うと寂しくもあります。
全て読み終わりましたら、感想などまた書きたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月 2日 (金)

死者のあやまち

著者 アガサクリスティ 早川書房

またもやポアロと、女流推理作家オリヴァのコンビ小説。
ヘイスティング君がなつかしい。。ってしつこいか?
本書はアガサクリスティの意見なのか、当時のイギリス人の意見なのか、いろいろと差別っぽい発言が垣間見えていろいろ考えさせられました、その一つは、いまの日本のネトウヨみたい。。
 だいたい、この地方の人たちは、なにか事が起こると、ただ漠然と外国人に罪をなすりつけて、それで気がすむという昔からの根強い考えがあるのではないかと、ブランド警部は胸のなかで思った。
なるほどですね。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

複数の時計

著者 アガサクリスティ 早川文庫

トリックが複雑すぎるので、有名な一作にならなかった理由はわかります。
これは1963年の作品、やはり晩年のポアロ。
だんだんポアロは愛らしくなっていきますね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

沈黙の町で

著者奥田英朗 朝日文庫

いじめの話です

奥田英朗はときどきですが、すごい面白作品があるのですが、本書は、ちょっとまだろっこしくて、面白いとは言い難い一冊でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年5月30日 (月)

百年法

著者山田宗樹 角川文庫

ずいぶん前に読んで、感想を書けないでいたため、すでに記憶が薄れてきてしまったのですが。ちょっとだけ感想をかいておきます。

不死の方法が確定した世界で、人口バランスを保つため、不死の処置を受けた人間は、処置後100年後に死ななければならないという法律をめぐり、騒動がおこります。

ローマ史をよく下敷きにして描いており、とても面白かったです。

永遠の若さ、、不死に面して、人の精神はどのように変わるのでしょうか?「ポーの一族」など、何百年も生きた登場人物も、常に悲しみを抱えていたような気がしますが。。

荒唐無稽な設定なのかもしれませんが、もう一度読んでみてもいい小説かと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年5月 2日 (月)

納棺夫日記

著者青木新門 文春文庫

映画「おくりびと」の原作を見つけたので、読んでみました。

著者の実体験にもとずく小説で、映画と違い、著者はチェリストではありませんでした。

事業などに失敗し、家族を養うために、納棺夫という仕事につくのですが、前半は詳しい仕事の内容が、映画に近い形に描かれていますが、後半は、死について語る哲学的な話にシフトしてしまい、物語としては、??????

という一冊でしたが、これもおそらく実はなのでしょう、あまりにも身近に死がおおすぎると、人は哲学者になってしまうものなのでしょうか。

学生時代をほぼ毎日過ごした、Tの急死、前日まで一緒に仕事をしていたMの突然の死、そしてやはり長いつきあいの友人Fを壮絶な癌の闘病の後の旅立ちを見送って依頼、ふとしたことで、人生の儚さを考えてしまうようになってしまいました。自分も哲学しているなと思ってしまうこともたびたびです。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

希望の国のエクソダス

著者村上龍 文春文庫

物語の冒頭で、日本人の少年が中近東の部族の一員となり地雷処理に従事している報道から始まります。

記者がなぜそんなことをしているのかと尋ねると、あの国(日本)には何もない、もはや死んだ国だと答えます。

この少年にあこがれて、家出をする少年も現れます。そのうちの一人は、家出の理由を「いじめがないから」と答えるのです。

舞台は2001年の日本です。近未来小説のようではあるのですが、すでに過去の日本が舞台なのですが読んでいると、いろいろと、今現在の話なのでおはと思えてしまい。。

子供たちは、不登校をはじめ、自分たちで新しい秩序の自分たちの世界を築き始めます。。

そして、やはり大人たちはあきらめてしまっているのではないかと、ますます不安になってしまう内容です。

政府は都合の悪い報道はせずに、有名人のゴシップや社会事件を興味本位に報道し、バラエティやワイドショーが視聴率を伸ばす。。そんな世の中。。が、この小説の中の世界なのですが、、警鐘というには手遅れなくらい暗澹とした気持ちになるのです(それは、自分もあきらめた大人サイドにいるからなのでしょうか)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

野性の条件

著者森村誠一 角川文庫

古本屋で100円で売っていたので購入したのも、昨年の安保法案の反対運動で、国会前でスピーチをしていたのをみて、どういう本を書くのだろうと興味をもったというのもあるのですが。

最後まで読み切るのが苦痛で仕方がない本というのも、珍しいくらいでした。

どちらかというと、戦争賛美、戦闘賛美、人間の本性は野性なのだというそういう内容の一冊だったのです。

人間の本性が野性なのではなくて、野性が人間性を持つと人間という野性とは別の本性になるのではないかとおもっているので、(ウィリアム・ゴール ディングの「蠅の王」とかアレックス・ガーランドの「ビーチ」とか。。人間が最後まで理性や人間性を保つのの難しさを語っている本を読むとわかりやすいと思うのですが)

全ての人間が野性を望んでいるとは本書を最後まで苦痛に耐えて読み終えましたが、やはりまったく思えませんでした。

現在、著者は83歳、本書の発行は2009年、7年前。当時でもすでに老境にさしかかっていたので、まだ当時は野性に戻りたいとおもっていたのでしょうか。

さすがに、現在の森村誠一は野性の状態に放り出されたら大変苦労するだろうと思うので、本書の当時と考えが変わったのかもしれません。そうだとしたら、かつて浅はかだったのでしょうが、でも考えが変わってくれて良かったです。

自分が野性の状態に放り込まれるかもしれないと想像もせずに、自分は安全だと思いこみ、戦争を賛美している多くの老害の人たちにくらべれば本当に良かったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

歪んだ複写

著者松本清張 新潮文庫

初版が昭和41年、私が手にした一冊は平成21年出版の、61版目。

50年前の作品だというのに、まったく古臭くない、今この現代のようなストーリーです。

もちろん、携帯やインターネットがない時代ですので、刑事たちの操作方法には現代との大きな違いがあるのですが、それでも読んでいて違和感がないのです。

ますます松本清張の本を多く読んでみたいと思うようになりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧